やすえさん あなた女使わなかった?
Wの悲劇 三田佳子のセリフ
若い頃 舞台のチケットを買ってもらうために
女を武器にした 大女優
「やすえさん あなた女使わなかった?あたしは
使ったわ」
「チケットを買ってくれた人」
「美味しいものを食べさせてくれた人」
「そんな男たちがいるから今のあたしがあるの」
この瞬間 三田佳子の大ファンになった
アラフィフも 暗黒の時代 詐欺にあって自殺を考えてしまった
今から30年近く前
途方にくれていたその時に ゲイ友達のYから電話
「今日出張でそっち行くからとめて」
Yの声を聞いて 堰を切ったように嗚咽をあげてなく
ハタチのアラフィフ
Yはうちに来て 話もそこそこに 5万円を差し出した
「返すのいつでもいいけん」
当時 Yは あるデパートで調理鍋とかを販売する会社に勤務していたが 薄給だったと思う
「そんなの借りられない」
ハッキリいって返すあてがなかったが 田舎から送ってきた米以外なにも食うものがなかったような有様だった
「いいけん そがんいわんでとりなっせ」
人のあたたかさに触れ 涙が止まらなかった
Yは田舎からでてきた 可愛い当時のアイドル
髪型を 地元の理髪店で切ってもらってるような
素朴な青年だった
一緒にゲイバーで 工藤静香の「FUJITSU」や「無言色っぽい」をよく歌っていた青春時代の思い出である
その5万円をもとにアラフィフは 必死に働いた
夜はウリセンで働こうと決心し 説明を聞きにいったが店の取り分の多さに 「ちっ」と思い ウリセンは
おもいとどまった
人間生きていれば なんとかなるものである
たくさんの男たちが 巨額の援助をしてくれて
借金はあっと言うまになくなった
マンション 車 なども手に入れたが自分の金は一円も使わなかった
車は 維持費 ガソリン代がかかるため 男に内緒で即売って貯金した
マンションは いまだにひとに貸している
私を通り抜けていった男たちのおかげである
でもやっぱり Yのおかげである
足をむけて眠れない
大事な友達である
あれから30年
久しぶりにに博多に飲みにでてみた
みのしま商店街の一画ににあるとあるゲイバーに
Yと飲むために行ってみた
「よお ママ久しぶりに また稼ぎやがって」
「あら ねーさん 相変わらず綺麗ね」
「クビないやん 病気?」
「ちょっと シャンパンいただくわ」
Yは大作という名で ダイダイグループのオーナーになっている
そんな商才があるようにみえなかったが
俺なんか足元にも及ばない
あの時の優しい気持ちがベースにあるから
いま たくさんのスタッフがついてくる博多の女帝に
なれたのであろう
ちょっと前は よくマージャンをしていた
牌をきるのが アフリカ像なみにおそいので
「あんた 早く切んなさいよ ブスのくせに」
「ちょっと待って」
「ブス 顔に綿つめてんの?はよ切らんかい」
「ちょっと待って」
と命の恩人に悪態を付くアラフィフ
勝ったことが一度もありません
福岡のお店は 7月にご紹介します お楽しみに