バブルの残骸 ゲイバーブログ

アラフィフの頑張ってる感じの痛々しいゲイのゲイバー日記

銀座の女

「ラケットをもっと早く引いて」

パコーン パコーン

今から30年前の福岡市の舞鶴公園クレイコート

バイト先の先輩がテニスを始めたばかりで

「テニス教えて〜」と懇願され

(チッ一円にもならねーのに)と心で思いながら

「そうっ  上手い 上手上手〜」

と褒めて生徒を伸ばす 20歳のアラフィフ

この頃は 4人の愛人 福岡の中洲で水商売のバイ

そして バーH にたまの週末都合のつく時だけバイトに入っていた

Hに入るように なったキッカケは麻雀

無類のギャンブル好きだったアラフィフは 詐欺にあった後 トリプルアクセルを決め一発逆転

相変わらず大学には行かず その日稼いだ金 今まで貯めた金を毎晩数えながらにやにやするのが日課だった

バイト先まで6キロくらいあるのに バスにものらなかったくらいドケチ だったのに 麻雀と飲みはやめられなかった

それにHは 素敵なナイスミドル = (カモ)を紹介してくれる 銭大好きなママだからバイトは楽しかった

先輩はその店の店子だった

「カラオケはホントに伝票につけたの?わからないなら足しなさい」

「お通しキレイなのは捨てちゃダメ」

といまなら コンプライアンス的にダメなみせだったが時代がこの店を大繁盛店にしていた

でもアラフィフはしっていた 本当にすごいのは

この先輩 一見顔がデカイだけの 感じのよい短髪にーちゃん 客の話を親身に聞き その客の好きな歌を

リクエストする細かな対応 

客を玄関まで見送りに行く まさに 銀座の女

この銀座の女にくらべたら

スーパーキュートでアイドルのような可憐な当時のアラフィフは さしずめ 枕営業の サセ子であった

新しく京都の医者と付き合ったため3ヶ月ほど

関西お座敷周りに出かけ 帰ってきたアラフィフが

久しぶりににHに行ってみると 店は相変わらずの大混雑 ママ「あらあ チョットご無沙汰ね〜 ボトルは

ワインになってるわよ」

と大騒ぎのママ でも 店のほとんどが 先輩のお客様

ファンだった

「◯ーちゃん 顔少しはちいさくなった?」

と弄ると 「あんたの方がデカイわ」とムキになる

先輩 

就職のために福岡を離れ ゲイバーからも遠ざかっていたアラフィフが風のうわさで 先輩がお店をOPEN

したと聞いた

「さすが銀座の女 只者じゃない」

たくさんの人に愛されるデカイ顔の女は 博多の繁盛店のゲイバーで今日も あの黒革の手帳の女のように

微笑んでいる

「なーちゃん テニスしようよ」

「わかった コートとっとくね」

いまでは すっかり上手になったテニス

いまでは 足元にも及ばない

「ちょっとお 試合近いんだからちゃんと練習してきてね」

と嫌味をいわれる

夜 みのしまの「七男鳥」の扉を開けると客でごった返していた

ママ「あら シャンパンだして〜」

銀座の女にはかなわない

注)顔がデカイと思うのはアラフィフの主観です